松尾組 第一回
映画「アップダウンドリーマー」に関する情報は断片的である。
というのも、SNS場のアカウントで展開される(公開されている)情報はどれも一枚一枚の奇抜な画像等で、映画の内容をとやかく優しく説明してくれる文章はない。
割れたガラスから何かを覗くモンタージュの男、プロジェクションマッピングで赤く照らされた空間で覆面?を被った男、そして身体から煙をあげる男、これらの写真にナンバーが添えられ、彼らはネット上で何かをカウントしているようにも見える。
一種のテロリズムすら感じられる複数の写真から監督である松尾渉平に、身体から煙をあげる男の写真について尋ねたところ、その煙(我々が煙と認識しているソレ)は人間の肉体から離れる魂であるという答えが帰って来た。
「魂というものを見た経験は無いが、身体から放たれる煙で人間の魂を見立てているのだ」と説明されると納得する。
そこで一つ、「アップダウンドリーマー」に関して分かった事は可視化できないものに表現を伴って、彼ら特有の意味合いを持って具体的に撮ろうとしているということである。
現代の映画製作において、SNS は切っても切り離せないものになっている。
宣伝はもちろん、実際にツイッターでの映画批評がリツイートで飛び回りネット上で不特定多数の個人に展開されている。映画界にとってこのような役割を担い始めた SNS上で、映画「アップダウンドリーマー」はこれから実際に観るであろうこの映画の観客に断片的な形で信号を送り続けている。
つまり、我々を現代的な形で映画に誘おうとする新たな映画配給宣伝そのものとも受け入れられる。また、この映画の特異な姿勢は我々観客に解釈の自由を提唱するものなのかもしれない。
原作者、松尾によればこの映画自体観客の解釈のみで構成されてゆくのもまた一興であり、他人を寄せては引き放すスタイリッシュで且つシュールな世界観から、観客が自由な解釈を選択できる余地を我々に提供してくれている。
この映画はまだ撮影段階であり、未だ完成されてはいない。この映画を作るのは松尾組のメンバーのみならず観客も巻き込まれているのかもしれない。
今年冬完成予定のこの映画を完成前から、スクリーンの前で観客の視界に届くまでを追ってみたいと思う。
筆 尾崎
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今回は松尾渉平監督作品『アップダウンドリーマー』でした
記事にある通り、彼らはSNS上に様々な撮影風景などの不思議な写真などを掲載しています
是非とも完成作品がどんなものなのか想像を膨らませてもらいたい…!
京都造形芸術大学に大瓜生山祭2016がやってきます!
9/18~19に開催される学園祭
この度、HOLEも上映させていただける事が決まりました
詳細はまた来週!
管理人